(86)雪でサーバーを冷やす?〜電力消費を抑えるホワイトデータセンター構想

    みかドン ミカどん

    北海道美唄市で提唱された「ホワイトデータセンター(WDC)構想」に注目が集まっています。内容は驚くべきもので、冬に集めた雪を保存し、夏場の冷却エネルギーとして活用することで、冷却にかかる電力を抑えることを目指すというものです。

    雪を活用した冷却の仕組み

    仕組みはとてもシンプルです。冬の間に集めた雪をそのまま保存しておき、夏になったら雪の冷たさを利用してサーバーを冷やします。

    具体的には、雪山の中にパイプを通し、そこに不凍液を流し入れます。するとその液体が冷やされ、その冷たさを空気に変えてデータセンターの中に送り込みます。
    こうすることで、本来必要だった冷房機械をほとんど使わずに済むようになります。

    この技術でどれぐらい省エネになるか、というのが気になるところですよね。
    データセンターの省エネ性能は「PUE」という指標で表されます。

    この数値は施設全体で使う電力÷サーバーが使う電力で計算され、1に近いほど無駄が少ないとされています。

    ホワイトデータセンターでは、この数値が1.09とされています。冷却に使用する電力が非常に少ないということですね!

    電気を変えるのではなく、減らす

    最近では、再生可能エネルギーを使うデータセンターも増えています。ただし、再生可能エネルギーはコストが高くなりやすいという課題もあります。しかし、ホワイトデータセンターはここが違います。使用する電気の種類を変えるのではなく、そもそも使う電力量を減らすという考え方を採用しています。電気をあまり使わないからこそ、無理なく運用ができるという仕組みです。

    さらにWDCで特徴的なのが、サーバーから放出される「熱」の使い方です。

    冷却と排熱の仕組み(画像:Geminiによるイメージ)

    通常、発生した熱は外に捨てられますが、ホワイトデータセンターでは再利用されます。
    夏に雪を活用したように、サーバーの熱は冬期を中心に活用されます。具体的には、サーバーの排熱を隣接するビニールハウスに供給し、野菜の栽培や水温管理を行うなど農業や養殖に活用します。実際にこの排熱を利用した養殖の取り組みが公式にも発表されています。

    冷却には雪を使い、発生した熱を別の用途に活用することで、エネルギーを循環させる仕組みが構築されています。無駄がありませんね。

    CO2削減へ!

    この取り組みによって、環境への効果が期待されています。

    試算では、再生可能エネルギーを使用した場合、サーバー1ラックあたり年間23.69トンのCO2削減が見込まれるとされています。企業にとっては、特別な設備を持たなくても、データセンターを利用することで脱炭素に貢献できる画期的な仕組みです。

    このプロジェクトにおける一番のポイントは、これまで雪国の人たちにとってコストであった雪を「資源」として再利用することができる点です。冷却、エネルギー、農業といった分野をつなげることで、地域資源を活かした新しい仕組みが生まれています。

    一見すると価値が低いように見える雪も、活用しようという発想が大きなテクノロジーを生むのですね!

    参考:WDC(ホワイトデータセンター)構想美唄市の公共除排雪でサーバーを冷却。廃熱でうなぎ養殖ホワイトデータセンター(WDC)の実現に向けて