

すっかり私たちの生活に馴染みつつあるAI。高校生の間ではChat GPTを友達のようにチャッピーと呼ぶこともあるのだとか。しかし、AI需要により静かに電力問題が起こっています。

文章を生成し、画像を作り、動画や音楽まで生み出すAI。その便利さの裏側では、膨大な数のコンピューターが24時間稼働し続けています。しかし今、その急成長に対して、ある課題が深刻化しています。それが電力の不足です。
AIの計算には大量のGPU(画像処理半導体)が必要で、それを動かすためには莫大な電気が必要になります。特に近年は、生成AI向けのデータセンター建設が急増したことで、アメリカ各地で電力不足や送電インフラの問題が指摘されています。
こうした電力不足を補う即戦力の電源として、今、意外なものが注目されています。
それが、航空機で使用されていたジェットエンジンです。
飛行機用エンジンを、発電設備として再利用!
アメリカ・ミズーリ州に本社を置く「ProEnergy(プロエナジー)」は、航空機で使用されていたジェットエンジンを改造し、データセンター向けの発電設備として提供しています。
使用されているのは、GE(ゼネラル・エレクトリック)製の「CF6-80C2」というエンジン。もともとは、ボーイング767向けに開発された大型ジェットエンジンです。
このエンジンのコア部分を活用し、天然ガスを燃料とする発電設備として再構成することで、データセンターに直接電力を供給できるようにしています。
発電能力は最大48メガワット。これは、アメリカの一般家庭およそ3万世帯分に相当する規模だとされています。単一のエンジンからこれほどの電力が生み出されるのは、驚異的ですね。
ProEnergyによると、こうしたジェットエンジン型発電設備は、すでにデータセンター向けに21基販売されているとのことです。
大量の電力が必要な背景
背景にあるのは、AIの急速な普及です。
近年のAIは、単純な文章生成だけでなく、画像生成や動画生成まで行うようになりました。こうした処理には大量の計算が必要となり、それに伴って電力消費も増加しています。
特に動画生成AIは、テキストAI以上に大きな計算資源を必要とすると言われています。映像は多数のフレームを連続的に生成する必要があり、動きや光、奥行きなども同時に処理しなければならないためです。
OpenAIが発表した動画生成AI「Sora」も、映像生成で注目を集めました。一方で、生成AI全体をめぐっては、膨大なGPUや電力消費、冷却設備などの負荷が課題となっています。
AIというと、どこか“デジタルだけの世界”に見えるかもしれません。しかし実際には、その裏側で必要になるのは、非常に現実的なインフラです。
発電所、送電網、冷却設備、燃料など、AIの進化は、物理的な基盤の上に成り立っているのです。
日本でもAI需要に伴って、データセンターの建設が行われています。電力不足の問題は他人事ではないかもしれません。
最先端を支える、既存技術の転用
火力発電所や原子力発電所の新設には、多くの時間がかかります。データセンターの建設が急速に進む一方で、電力インフラの整備が追いついていない地域もあります。
そのため、比較的短期間で導入できる航空転用型ガスタービン発電設備が、データセンター向け電源として導入される事例も出ています。
もともとは航空機用として開発されたエンジンが、地上の発電設備として再利用される。
最先端を走るAIインフラを、実は既存技術の転用が支えているという、興味深い構図が生まれています。
AIの進化は、ソフトウェアだけで進むわけではありません。
その背景では、エネルギーやインフラをめぐる、新たな課題と工夫も同時に生まれているようです。
参考:GIZMODO-AIデータセンターの電力不足に現れた救世主は、使用済みのジェットエンジン?,AI向け発電、ジェットエンジン転用に熱視線,AIデータセンターは電力需要を満たすために“ジェットエンジン”をも利用する,
(ミカドONLINE編集部)




























