生き物に学ぶ「省エネの達人」たち:蜂の巣から学ぶ、断熱と換気の仕組み(3)

    ミツバチの巣といえば、規則正しく並んだ六角形を想像しますよね。
    自然物とは思えないほど、整った美しい網目をしています。

    この形には単なる偶然ではない合理性があります。少ない材料で効率よく空間をつくり、さらにミツバチたちは羽を使って巣の中の空気を動かしています。

    今回は、蜂の巣が持つ「構造」と「換気」の仕組みを見ていきます。

    六角形のひみつ

    蜂の巣は、ほぼ六角形の部屋が連続して構成されています。

    六角形で構成された蜂の巣(画像:photo AC

    六角形は、隙間なく並べることができる図形の一つです。さらに、同じ面積を囲む場合、比較的少ない長さの材料で空間をつくることができます。
    受けた衝撃を最も分散しやすい形でもあり、構造として非の打ち所がありません。

    ミツバチは、自ら分泌するロウを使って巣をつくります。ロウを生み出すにもエネルギーが必要なため、効率的な構造を使うことは生存にとって重要です。

    蜂の巣の構造は「ハニカム構造」と呼ばれ、工学分野にも応用されているのです。軽量で強度を保ちやすいことから、建築材料や航空機の内部構造などにも利用されています。

    この構造は、少ない材料で効率よく空間をつくれるだけでなく、多数の小部屋が連続することで内部に空気層を生み出します。

    空気は熱を伝えにくいため、建築分野でも断熱材に空気層が利用されています。蜂の巣も、完全な断熱材ではありませんが、多数の空間によって外気の影響を緩やかにする構造を持っています。

    また、巣の材料であるロウ自体も熱を伝えにくい性質を持っています。こうした特徴が組み合わさることで、巣の内部環境の急激な変化を抑えていると考えられています。

     換気の鍵は羽ばたき

    ミツバチは、巣の構造だけに頼っているわけではありません。巣中心部は常に約33〜35℃程度に維持されており、気温が高い時には、巣の入口付近などで羽を高速で動かす扇風行動を行います。

    扇風行動を行うミツバチ

    羽ばたきによって空気の流れをつくり、巣の中の熱や湿気を外へ逃がしやすくしています。天然の扇風機やサーキュレーターのようですね。

    幼虫を育てるエリアでは温度管理が特に重要なようです。ミツバチたちは集団で換気を行いながら、巣の内部環境を維持しています。

    これは、人間の建築でいう「自然換気」の考え方にも近い仕組みです。
    自然換気は機械動力を使わず、風力や温度差を利用した効率的な通風のことを指します。

    建築や設備にも活かされる「ハニカム構造」

    蜂の巣の構造は、工業や建築分野でも応用されています。
    例えば、建築用パネルや断熱材、航空機の内部構造などでは、「ハニカム構造」が利用されています。

    ハニカムコアと呼ばれる六角形の集まりを、表面板でサンドイッチのように挟んで使用する場合が多いようです。

    ハニカム構造の仕組み(画像:Chat GPTによるイメージ)


    内部を蜂の巣状にすることで、

    • 軽量化
    • 強度の確保
    • 空気層による断熱性

    を両立しやすくなるためです。

    たとえば、ハニカム構造を持つ断熱ブラインドでは、生地の内部に空気層をつくり、窓と室内の間で断熱材のような役割を持たせています。空気は熱を伝えにくいため、これによって断熱効果を高めるという仕組みです。
    玄関ドアやテーブルの天板など玄関ドアやテーブルの天板など、思ったよりも身近な場所に存在しています。

    蜂の巣に見られる六角形の構造や、空気をどう扱うかという視点は、建築や省エネ製品を考えるうえで一つのヒントになっているのですね。

    無駄を減らした設計

    ミツバチは、大きな設備を持っているわけではありません。

    限られた材料で巣をつくり、必要な時だけ羽を使って換気を行いながら、群れが暮らせる環境を維持しています。シンプルな仕組みで生活が快適になるのなら、こんなに良いことはありませんよね。

    大量のエネルギーを使うのではなく、「無駄を減らす構造をつくる」という考え方は、私たちの生活に必要なものかもしれません!

    参考:ニッセイ基礎研究所-ハニカム構造について-ハチの巣はなぜ六角形なのか?,ハニカム構造とは?ハニカム構造の特長や使用用途,草地家-みつばち社会〜働き蜂⑨扇風と温度調節〜 ,新日本フエザーコア株式会社-ハニカムコアの特長

    (ミカドONLINE編集部)