電子レンジはアメリカの軍需製品メーカーである
レイセオン社で偶然をきっかけに生まれた製品です。
レーダーの担当技術者がマイクロウェーブを照射する
マグネトロンという機器の前に立った時に、
ポケットのチョコレートが溶けていることに気が付きました。
そこから、レーダーのマイクロウェーブが
食品の加熱にも利用できることがわかり、
同社が1947年に売り出した
「レーダーレンジ」という商品が
世界で初めての電子レンジとなりました。
しかし出力が大きく大型で高価な上に
配管工事も必要だったため、あまり売れませんでした。
そのレイセオン社のマグネトロンをモデルに、
国産1号機の電子レンジを1959年に開発したのが東芝です。
東芝が開発した電子レンジは
市販品ではなく防衛庁に納入されたもので、
翌1960年には国鉄のビュッフェ用にも採用されましたが、
設計はレイセオン社のマグネトロンを分解し、
正確に計測する方式だったため量産はされませんでした。
また大きさも冷蔵庫のようなサイズでした。
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https://www.mikado-d.co.jp/wp/backup_47#2
一方、同じころにレイセオン社と日本無線の
合弁会社として新日本無線株式会社が発足し、
マグネトロンの小型化に成功しました。
それを採用して家庭用電子レンジの
商品化に取り組んだのが松下電器とシャープです。
やがてレイセオン社の基本特許が切れる
1960年代後半になると
各社がマグネトロンの自社生産を開始し、
小さくなって価格も下がった電子レンジは、
参入するメーカーも増えて、
次第に普及し始めました。
そして日本製の小型電子レンジは
世界を席巻するまでになりました。
ちなみに電子レンジの「チン」という終了音を
最初に付けたのはシャープです。
「せっかく温まった食べ物が
冷めないようにタイマー終了の合図が欲しい」
という要望を受けて、
自転車のベルをヒントにしたそうです。
トマホークやパトリオットなどの
ミサイルをつくっている会社で開発された
電子レンジが日本で小型化し、
自転車のベル音が搭載されて
本国アメリカに大量に輸出されるというのも
面白い歴史ですね。