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前回は、主に運用の改善による省エネルギーの実践でした。今回は、設備投資による省エネルギーの実践(及びCO2排出削減 以降「省CO2」という)についてです。設備投資で行う省CO2には、設備別に以下のようなものがあります。(表伸也)
照明設備
蛍光灯のLED照明化
現在40W2本(若しくは32W2本)の蛍光灯設備を使用されている企業様(特に事務所等)はまだ多いかと思います。これを最新の高効率照明であるLED照明器具に更新した場合、消費電力量は蛍光灯の場合に比べ1/3程度と大きく削減できます。
例えば照明設備で使用している年間電力量料金が120万円だった場合、LED照明に更新することで、40万円まで低減(80万円削減)されます。現在価格もさがっており費用対効果も大きいため、ぜひ実施することをおすすめします。まずは、なにはともあれエネルギーの使用状況の見える化が重要です。現状をしっかり把握することで、エネルギー使用に関する課題や対応策が明確となります。
水銀灯等高天井照明のLED照明化
工場等では400Wの水銀灯等高天井用の照明設備を多く使用しているところが多いです。また駐車場等の外灯にも多く使用されています。これを最新の高効率照明であるLED照明器具に更新することで、消費電力量は水銀灯の場合に比べ1/4程度と大きく削減できます。
水銀灯は点灯スイッチオンしてから通常の明るさになるまで時間がかかりますが、LED照明は点灯スイッチオン後すぐに通常に明るさとなりますので、点灯している時間も削減できます。更に2020年には水銀灯は製造禁止となるため、お早めにLED照明に更新することをおすすめします。
空調設備
電動エアコンの更新
エアコン(電動ヒートポンプ式エアコン)を最新の高効率型に更新ことで省CO2を図ります。例えば、15年前のエアコンを最新型に更新するだけで消費電力量は約60%削減できます。
また、年々性能が向上しており、例えば冬はエアコンの暖房では寒いため、灯油のストーブで対応しているところも多くありますが、最新のエアコンですと暖房性能が大きく向上しているため、エアコンの更新と同時に灯油ストーブの使用をやめると、年間を通して大きな省CO2となります。
もし、古いエアコンを使い続けておられる企業様がありましたら、ぜひ最新機器に更新することをおすすめします。
燃料転換による更新
エアコンには上記の電動ヒートポンプ式エアコン(EHP)の他に、ガスヒートポンプ式エアコン(GHP)や灯油等油の燃料を使用したヒートポンプ式エアコン(KHP)等があります。特にKHPに関しては更新する際にEHPやGHPに燃料を転換して更新することで、高効率化とともに燃料転換による省CO2が図れ、大きな効果が得られます。
(次回につづく)
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表伸也(おもて しんや)
ミカド電装商事(株)取締役環境・エネルギー本部長 上席エネルギーコンサルタント
大手通信会社のエネルギー管理士として、大規模データセンター等のエネルギー管理業務に長年携わり、数多くの電力設備・空調設備等の省エネ実績を持つ。近年では、太陽光発電設備の設計・施工等創エネに関する実績も豊富な、エネルギーマネジメントのエキスパートである。2018年より環境省環境カウンセラー。
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