
刑事コロンボは1968年から2003年まで米国で放送された全69話の人気ドラマです。日本でも大変人気になり、今でも時々リバイバル放送されています。このシリーズではドラマの中で当時の最新鋭機器という扱いで描かれている家電やシステムについてご紹介をしながら、電気製品などの歴史を振り返っていこうと思います。

第51話「だまされたコロンボ」に登場するポケベル
刑事コロンボは最初に犯人が登場し、犯行に至った経緯や犯行シーンを視聴者に見せたあと、コロンボが犯人を追い詰めていくプロセスを描くドラマです。
犯人を当てるドラマではないため、この手法は倒叙ミステリーと呼ばれ、日本では刑事コロンボをオマージュ(尊敬・敬意)する作品として古畑任三郎シリーズがつくられました。
刑事コロンボでは対比の妙として、風体の冴えないコロンボが相手に馬鹿にされたり蔑まれたりしながら、財産のある社会的成功者をロジカルに追求していく図式が面白く、そのため、お金持ちを象徴する持ち物として流行の先端を行くような家電や電子機器がよく登場するのです。
第51話の新・刑事コロンボ「だまされたコロンボ」(原題:Columbo Cries Wolf)では、雑誌社を経営する裕福な犯人が降参する重要なアイテムとして腕時計型のポケベルが登場しました。
ネタばれになるので詳細は割愛しますが、犯人と殺された恋人(兼ビジネスパートナー)が同じ腕時計型ポケベルをペアで持っていたことが巡り巡って解決につながります。

最後のシーンでポケベルに表示された文字は「GOTCHA」(ガッチャ)。これは「捕まえた!(やった!)」という意味があるそうです。(英語版の動画でご確認ください)
独特の文化を生み出したポケベル

この回の刑事コロンボは米国では1990年、日本では1994年(平成6年)に放送されました。刑事コロンボではこの回よりも前に、警察本部からの呼び出しにポケベルが使われているシーンがあるので、この時点で最新鋭というわけではないと思いますが、珍しい腕時計型であることや素材をゴールドにすることで「お金持ち」を描きたかったのではないかと思います。
ポケベル(ポケットベル)の歴史は意外に古く、日本では1968年に日本電信電話公社(現NTT)がサービスを開始しています。(米国では1958年開始)
けれど当時は着信音をただ鳴らすのみのサービスだったため、本格的に普及するのは数字の表示ができるようになった1987年以降です。(文字ではなく数字だけです)
やがてポケベルは1990年代に女子高生などの若者を中心に大きなブームとなり「0840(おはよう)」「0833(おやすみ)」「0906(遅れる)」「04510(お仕事)」など、語呂合わせによる独特のポケベルコミュニケーション文化が生まれ、マニュアル本なども作られました。
残念ながらポケベルは1996年境に利用者が減少し、その後は急速に普及してきた携帯電話やPHSに置き換わりますが、2019年のある記事によれば、ポケベルの話題で相手の世代が以下のようにわかるそうです。
・中高生の頃に使っていた=30代
・ビジネスで多用していた=40代
・ビジネスの関係上持たされていた=50代
今は2025年なので、上の年代に5~6年を加えるとちょうどいい感じかもしれませんね。ちなみに私はポケベルを持ったことがないので、永遠の年齢不詳ということで通そうかと思います(笑)
(ミカドONLINE 編集部)
参考/引用記事: これ読めますか?「045105110」懐かしのポケベルのメッセージ27選 など
ー 記事一覧 -