【ヒストリー】11.波力発電~世界の波力発電の父は復興を誓った日本人~

    波の動きで電気を起こす発電を波力発電といいます。
    「波力発電の父」と呼ばれ海外で名高い
    日本人がいることをご存じでしょうか?

    それは益田式航路標識ブイの開発者で、
    世界で初めて波力発電を実用化させた
    益田善雄氏(1925-2009)です。

    益田氏は海南島で終戦を迎えた
    海軍特別攻撃隊の隊長でした。

    今後は日本の再建に寄与したいと考え波の力に着目、
    波力発電で日本を復興しようと決意して、
    仕事の傍ら地道に実地研究を重ね、
    1964年航路標識ブイの電源として
    初めて発電に成功しました。

    この装置を搭載した益田式航路標識ブイが
    翌年海上保安庁に採用されたことで、
    これが世界で初めて実用化された
    波力発電装置となりました。

    ※益田氏が考案して実用化された益田式航路標識ブイ


    当時、陸上自衛官から転官して
    防衛庁技術研究本部の技官になっていた益田氏は、
    やがて、海洋科学技術センターの研究主幹となり、
    大型の波力発電船「海明」の開発にも携わりました。

    益田氏の航路標識ブイは今も世界中で利用されています。

    出力が小さく(500w以下)用途も限定されますが、
    工業製品として内外に
    広く普及している波力発電装置はほかになく、
    Yoshio Masudaの名前は
    海洋エネルギーの歴史を記した海外のサイトでは
    必ず登場します。

    海洋エネルギー開発の分野で
    後れを取っていると言われる日本ですが、
    かつては世界が注目する先進国でした。

    その原動力となったのは益田氏の
    復興を誓う熱い思いだったのかもしれません。