これでなっとく!エネルギー(3)太陽光でなぜ発電できるの?~答えはとってもシンプルだった!~

    みかドン ミカどん

    エネルギーに関して日ごろから感じている素朴な疑問について解説する新シリーズです。第3回目は「太陽光発電」についてです。私は物理が苦手なので難しいサイトを読んでもさっぱりわかりません。ですが調べてみて個人的に謎が解けました!恥ずかしながら私がわからなかったのは、一番根本的なところだったんです。(このシリーズのリストはこちら

    どんな金属も光を当てると電気が発生するんです!

    (画像:日本ガイシ

    お日さまの光でなぜ発電できるのだろう?これが長年の謎でした。私がなるほど!と納得したのは「金属に光を当てると電気が発生する」という事実です。(実は初めて知りました・・)

    これは高校で習う(らしい?)ので物理が好きな方には当然の事実かもしれません。ですがあまりに当たり前すぎて太陽光発電ではこの解説されておらず、それが自分の「よくわからない」原因だったのかもしれません。

    この現象は光電効果と呼ばれているもので、1839年、フランスのアレクサンドル・エドモン・ベクレルという学者によって発見されました。この方は放射線を発見したアンリ・ベクレルのお父さんです。

    光電効果はのちに電波の存在を発見したドイツの物理学者ヘルツ(H.R. Hertz)によっても1887年に確認されています。

    (過去記事)電波の歴史~②電波を発見しても電波の価値は見いだせなかったヘルツ
    (過去記事)単位の歴史(19)~「電波は何の役にも立たない」と言った発見者ヘルツの名前が電波の単位に使われている~

    実際に電気が発生するかどうかは照射する光の波長によりますが、条件が合えば鉄でも銅でもアルミニウムでもわずかながら電気は発生します。しかし微量すぎて実用にはまったく適しません。

    ところが、1873年にセレンという物質に光を当てると電気の導電率が増加することがわかり、それを基に1883年には米国でセレンを使った「太陽電池の原型」ともいえる光電池が考案されて、露出計などに実用化されました。

    通常は電気を通さないのに、温度変化や光の照射、不純物の添加で電気を通すようになる物質を半導体と言います。(セレンのほか、シリコンやゲルマニウムなどがその素材です。)

    現在のシリコンを使った太陽電池は、真空管に代わる小型電子部品を研究していた米国のベル研究所によって発明されました。

    (過去記事)トランジスタの歴史①~悔しさが生み出した世界を変える大発明~

    きっかけは偶然でした。次世代通信システムのために半導体を使ったトランジスタの開発をしていたベル研究所で、シリコン整流器に光を当てるとセレン光電池の5倍という強い出力を得られることがわかったのです。

    これ以後、太陽電池と半導体は切っても切れない関係になり、相互に影響し合いながら発展してきました。そしてその後の様々な研究開発を経て現在に至っています。

    光電効果の疑問をアインシュタインが解決

    (画像:ウシオ電機

    光は人の目に見える帯域の電磁波の一種で、物質を変化させるエネルギーを持っています。

    光を「波」と考えた場合、その特徴は波長(波の山の長さ)と振幅で(波の山の高さ)で表され、波長は色の違い、振幅は光の強さ(明るさ)になります。

    ところがそれまでの実験で金属に光を当てて発生する電気のエネルギーが光の強さ(振幅)とは必ずしも一致しないことがわかっており、それが「光電効果」に関する長年の疑問でした。

    その謎を解いたのがアインシュタインです。アインシュタインは1905年に「光は粒の性質も併せ持つ」という理論を発表しました。光を「粒」と捉えると今まで疑問とされていた光電効果の現象もすべて説明がつくようになったのです。

    光電効果は光の粒が金属に衝突したときに、金属から電子(―)の粒を押し出してしまう現象です。その電子を回路につないだ電極(+)で吸い寄せると、回路の中を電子が一方向に移動して循環し始めるので「電気が流れている」状態になります。このしくみを利用して発電するのが太陽光発電です。(逆の機能を応用したものがLEDです)

    光はエネルギーを持っています

    (画像:Wikipedia

    さて、金属に光が当たると電子が飛び出る現象が発生するのは前述の通りですが、電子がバラバラに外に飛び散るだけでは、電気が流れていきません。電気は電子の流れなので物質の中を揃って一方向に流れていかないと電流が発生しないのです。

    半導体はこの課題も解決してくれるスグレモノです。交流を直流に変換する初期の整流器にセレンが使われていたように、半導体には電気を一方向に流す機能があります。

    ですが外部から電気を流す整流器と異なり、太陽電池の場合はどうやって電気の流れる方向やそのための推進力を得るのでしょうか。

    pn接合で電気が一方向に流れ出します

    (画像:関西電力

    そのために使われるのが半導体のpn接合という技術です。これは異なる微量の不純物を混ぜて、マイナスに帯電するように作られたn型半導体とプラスに帯電するように作られたp型半導体をくっつけたものです。

    そこに太陽光が当たると光のエネルギーによって電子が動き始め、あらかじめ電位差が出るように仕込まれたこのしくみによって、電子が一方向に流れ出します。

    こうやって発生した電気は直流であるため、家庭で使用したり電力会社に販売したりするためには一度交流に変換しなくてはなりません。

    そのための変換装置がパワーコンディショナー(パワコン)です。

    現在はさらに技術が進み、シリコン以外の太陽電池も多数開発されていますが、基本的な従来型の太陽電池のしくみは以下の動画がとてもわかりやすいので、興味のある方はぜひご覧ください。この動画を見たり、今回の記事を書くために色々調べたことで、私もかなり理解が進みました。(たぶん?)

    (ミカドONLINE編集部)