「名もなき草の名」というシリーズですが、今回も皆さんが大いにご存じのスギナです。実は先月、社長の沢田から「家の庭のスギナ駆除が最高に大変だった!」と聞き、この機会に取り上げてみようと思いました。
スギナとツクシは同じ植物です
当社の社長が除草にメチャメチャ苦労したというスギナですが、上の動画を見てみると確かに根(実は根ではなく地下茎=地中の茎ですが)が60㎝以上も地下に延びていて、しかも縦だけでなく横にも広がっており、思った以上に地中の広範囲に根(地下茎)を張っているのがわかります。
スギナはトクサ科の耐寒性の多年草です。種ではなく胞子で増えるので、わかりやすく言えばシダの仲間、つまりワラビやゼンマイの仲間なのです。なので花が咲くことはありません。そのかわり春先に、胞子を出すための特別な茎を地上に伸ばします。それがツクシです。
ご存じの方も多いと思いますが、スギナとツクシは同じ根から伸びるまったく同じ植物です。
春先になるとスギナは地下茎から地上にツクシ(胞子茎)を出して胞子を放出します。
ツクシは胞子を撒き終えると枯れてしまいますが、替わって今度はスギナ(栄養茎)が地上に出てきます。緑色のスギナは葉緑体があるので光合成ができ、太陽の光で栄養をつくることができます。つまりスギナは繁殖と養分の調達を、違う機能を持つ違う形の茎で分担していると言えます。
スギナは生えるけどツクシは生えない?
ですが、私はスギナが群生しているような空地で春先にツクシをあまり見かけたことがありません。ネットの解説では、ツクシとスギナが入れ替わり交互に地上に生えるような説明になっていますが、「確かにその通りだ」と自分の目で実感した経験が一度もないのです。
そこで調べてみると、同じ疑問を持つ人がほかにもいるようです。ある中学生はそれについて丁寧に調べ、その研究が自然科学観察コンクールで文部大臣賞を受賞しています。すごい!
🌍スギナの研究 つくしの生える条件 (中学校の部 文部科学大臣賞) | 入賞作品(自由研究) | 自然科学観察コンクール(シゼコン)
それによると、「夏までに十分な栄養が地下茎にないと、次の春につくしは出てこない」そうです。けれど一方でYahoo知恵袋の回答では「スギナが繁茂しすぎるとツクシが出ないことは良くある」とあり、個人的には後者のほうが「言われてみれば・・・」とうなずける気がします。
同じ疑問はmixiでも議論されており、明確な答えは出ていませんが、たぶんスギナが旺盛に育っていて、繁殖のために敢えて胞子を飛ばす必要がないときは、ツクシの生成をサボッちゃうんでしょうね。異形の茎を地上に出して胞子を外部に放出するのは、スギナにとって案外エネルギーのいることなのかもしれません。
何らかの方法で光合成させないのがいいみたい?
さて当社の社長が「骨が折れた」を連発していたスギナの駆除ですが、スギナは難防除雑草と呼ばれているらしく、刈っても刈っても庭にニョキニョキ繁茂するため、ガーデニングの天敵となっています。
困っている人が多い事柄は、その分だけ解決策を提示している人も多くいるようで、検索してみると根絶方法を解説している動画がいくつも出てきます。
ご紹介した動画は左がわれらが宮城の園芸屋さん、右が静岡の園芸屋さんです。宮城のおじさんは「芝に植え替えてマメに刈る(他の植物との競争に弱い、除草剤も使用)」、静岡のお兄さん(?)は「5月の連休までに地上部を手でむしってひたすら取る(養分が作れず翌年激減する、運動にもなる)」がメーンの主張です。
どちらの動画も公開後2年が経っていますが「効果があった」という”その後”のコメントがないので「やってみます」と言っていた人たちが実際どうだったのか知りたいところですよね。
一見、異なる手法に思える二つの動画ですが、共通点は光合成をさせないこと。他の植物を植えても手でむしっても、養分をつくり出す緑の部分を根気よく絶やして、時間をかけて(数年単位)全体を弱らせる作戦のようです。
厄介者のスギナですが、ネット上ではスギナはミネラルが豊富なので「除草剤を使うなんてもったいない!摘んでスギナ茶にすべき」というご意見もありました。一説では歯・髪・爪の健康維持に必要不可欠なケイ素を含むため育毛や白髪予防にもいいそうです。
来年、社長からスギナをもらって挑戦してみようかしら??
(ミカドONLINE編集部)
出典/参考記事: スギナ | 日本薬学会 ツクシが成長してもスギナにならない? ツクシとスギナの意外な関係とは(季節・暮らしの話題 2021年03月17日) – 日本気象協会 tenki.jp ミネラルいっぱいスギナ茶~効果・効能、副作用はある?飲む時に注意すること~ | 茶卸総本舗ブログ など