エネマネ最新事情(41) ~JFEエンジも参入を表明。来年新しく始まる蓄電池ビジネスってどんなビジネス?~

    みかドン ミカどん8月2日、JFEエンジニアリングと同社の新電力会社アーバンエナジーが蓄電池ビジネスに本格参入すると発表しました。ですがそもそも蓄電池ビジネスっていったいなに?今回はそれについて解説いたします。

    JFEエンジニアリングが新たに参入した蓄電池ビジネスとは?

    蓄電所イメージ図(画像:オリックス株式会社

    今年(2022年)の8月2日、JFEエンジニアリングと同社100%子会社の新電力会社アーバンエナジーが、蓄電池ビジネスに本格参入すると発表しました。蓄電池は米テスラ製で、出力は2.5MW、容量は5MWh。2023年春から運用する予定です。

    🌍(参考)JFEエンジ、蓄電池ビジネスに参入、鶴見製作所に5MWh

    蓄電池ビジネスは、充電して繰り返し使える蓄電池を電力需給の安定に活用するビジネスです。電気が余ったときに市場で安く買って蓄電池にため、値上がりしてから放電して売れば利ざやを稼ぐことができます。

    今年の4月1より電気事業法が改正され、大型蓄電池が※1電力系統に接続する権利が認められました。そして大型蓄電池を電力系統に直接連系する「系統用蓄電池」(系統直付け蓄電池)は電気事業法上の「発電事業」に位置付けられることになりました。

    電気は常に需要と供給を一致させなければ停電や設備故障が発生します。そこで今までは長い間、電力会社が利用者のリアルタイムな電力消費をきめ細かに予測し、様々な発電方式を組み合わせながら電気の供給量を絶妙に調整してきました。これを需給バランスの調整といいます。

    しかし2020年に発電事業と送配電事業が法的に分離されることになり、需給バランスの調整は送配電事業者の義務となりました。昨年はそのための電力を売買する需給調整市場が開設されましたが、今後は従来のリソース(LNG火力発電、揚水発電等)に加え、蓄電池も電源としてシェアを伸ばしていくと予測されています。

    ※1電力系統とは…電柱や電線をはじめとする電力会社の送配電網を総称して「電力系統」といいます。「電力系統」に発電設備を接続することを電力系統連系といいますが、省略して「系統連系」「系統接続」などとよくいわれています。

    変動性再生可能エネルギーのさらなる普及には蓄電池設備が必須

    (画像:オリックス株式会社

    経済産業省が第6次エネルギー基本計画で掲げた2030年度の電源構成では、再エネ比率を36~38%とし、そのうち太陽光と風力の合計で19~21%を想定しています。(2021時点では10.1%)

    太陽光発電や風力発電のように出力が変動する変動性再生可能エネルギー(VRE)は電源構成の比率が20%を超えると系統運用が不安定になり、大規模なエネルギー貯蔵設備が必要になるといわれています。

    日本の変動性再生可能エネルギー(VRE)の比率はまだまだ10.1%ですが(2021年)、英国ではすでにこの水準に達しており、系統に大型蓄電池を接続して需給調整サービスを提供する事業が伸びてきています。

    日本でもこのまま需給対策を何もせずに太陽光・風力が増加した場合、出力抑制率の上昇で太陽光・風力の投資収益性が下がり普及の大きな障害になることは明らかです。そのため大規模な蓄電池を系統に接続し活用することが必須になってきたのです。

    新たに「蓄電所」という名前の施設が登場します

    (画像:経済産業省PDF

    これまでも国内で大型の蓄電池は稼働していました。けれどそれらは基本的に発電所や変電所の敷地内や商業ビルなどに併設され、施設内の需給安定化を図るものでした。

    これに対し、蓄電池ビジネスは特定の施設ではなく、送配電網そのものに接続して電力システム全体の安定化に一役買う新しい事業です。

    収益性や投資回収期間などはまだ不透明ですが、現時点ではJFEエンジニアリングのほか、オリックスや住友商事も参入を表明しています。

    各社のニュースリリースによれば、オリックスは関西電力と共同で和歌山県紀の川市に113メガワット時(11万3000キロワット時)をためられる蓄電池施設を建設予定(運手開始は2024年)、住友商事は20メガワット時の容量を持つ蓄電池施設を北海道千歳市に建設中で、2024年3月までの稼働を目標にしています。

    事業として系統に連携されるこれらの蓄電池施設は「発電所と同等」という法的位置付けになるため、保安規制を整備するために「蓄電所」と命名されて今回新たに定義されました。

    現時点で「蓄電所」という言葉には誰もが耳慣れない印象を感じますが、この呼び名が世間に浸透する頃には再生可能エネルギー(VRE)の比率も今よりずっと増えているのかもしれません。

    (ミカドONLINE編集部)


    参考/引用記事:蓄電池ビジネスとは 再生エネ拡大を商機に: 日本経済新聞 「系統蓄電池」解禁へ、10MW以上は「発電所」に – ニュース – メガソーラービジネス : 日経BP 蓄電池ビジネスの制度改正続々、蓄電所や再エネ電源の活用を後押し|日経エネルギーNext 「蓄電所」ビジネスが本格始動、再エネ移行の鍵握る-新規参入相次ぐ – Bloomberg など

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