雑草:名もなき草の名(11)~春を告げる青くて可憐な花なのに名前がひどいオオイヌノフグリ~

    みかドン ミカどん今回取り上げる「オオイヌノフグリ」は名前の由来が微妙過ぎて非常に記事にしにくい雑草です。でも頑張って書いてみます!

    春の訪れを感じさせてくれる小さくて青い花

    オオイヌノフグリの花(画像:HORTI

    個人的に私の大好きな花です。多少寒くても日差しの強さを感じる今頃(2月ぐらい)から青い花が咲き始めるので、この時期の晴れた穏やかな日には冬の終わりと春の訪れを感じさせてくれます。

    全国的に分布する雑草なので、ほとんどの方は道端や野原や田畑のあぜ道などで見かけたことがあるのではないでしょうか。

    オオイヌノフグリは元々ヨーロッパ原産の帰化植物で、日本に入ったのは明治初年と推定されます。1887年に東京で最初に確認されて、その後あっという間に広がり、大正時代にはごくありふれた存在になりました。

    越年草なので、秋に発芽して冬を越し、春に開花すると枯れてしまいますが、その割には毎年いつも同じ場所で同じように咲いているような気がします。それだけ繁殖力が強いということなのでしょうか。

    オオイヌノフグリのフグリとは?

    オオイヌノフグリの実(画像:生き物ネット

    さてオオイヌノフグリの名前の由来です。フグリというのは実は陰嚢のこと。つまりオオイヌノフグリのというのは「犬の〇玉」のことなのです。

    理由は実の形にあります。写真を掲載したのでどうかご納得ください^^

    それにしても可憐な花ではなく、実のほうに注目してネーミングするなんて、昔の人の気持ちがいまいちわかりませんが、人はやはり見てわかりやすくキャッチーなことを好むのでしょうか?

    ちなみにオオイヌノフグリの「オオ」のほうは、近縁種である「イヌノフグリ」に比べて形が大きいという意味です。

    イヌノフグリ(画像:まちの植物はともだち

    イヌノフグリはもともとこの植物の名前の由来になった日本に古くからある在来種ですが、近年では外来種のオオイヌノフグリに生地を奪われてしまい、絶滅危惧II類 (VU)として環境省のレッドリストに載るほど数が減少してしまいました。

    在来種のイヌノフグリのほうは、たとえ道端で咲いていても気づかないほどの地味な花です。確かにこれでは華やかな外来種に負けてしまうのではないか?とつい思ってしまいますが、植物の繁殖力と見た目は別物ですよね(笑)

    (ミカドONLINE編集部)


    出典/参考記事:オオイヌノフグリ / 国立環境研究所 侵入生物DB   など