日本で最初の家庭用餅つき機を開発・販売したのは東芝です。東芝の餅つき機「もちっこ」は1971年(昭和46年)に発売以来、爆発的な売れ行きを見せ、大ヒット商品となりました。
実はそれ以前にも餅つき機はありました。ですが主に農家向けとして農機具メーカーが開発した3升用の大きな機械で、先にセイロで蒸したもち米を、機械に移して餅にするものでした。
昭和40年代に入り、様々な家電商品が考案・発売される中で、東芝では新しい調理機器の研究を進めていました。そこで着目されたのが家庭用の餅つき機。「都会の家庭でも使えるように、もっと小型の商品ができないか?」「もち米を蒸す作業とつく作業を同じ機械で完了できないか?」
メンバーが知恵を出し合って試作と実験を繰り返した結果、臼の下、モーターの反対側に空間を確保し、ボイラーを組み入れることに成功したのです。また、もちをこねる羽根の動きはできるだけ遅いほうが、食感がよく仕上がることがわかり、羽根の駆動をモーター直結からベルト式に変えるなど、様々な工夫をこらしました。
数々の試行錯誤を繰り返して発売されたもちっこは、市場がピークを迎えた1976年(昭和51年)には年間100万台が売れました。もちっこでもち米がくるくる回りながらお餅に変化していく様子は、見ていて面白く、いつまで見ていても飽きないため、実演販売にはどこでも大変な人だかりができました。
現在、家庭用餅つき機の売れ行きは下火になりましたが、その技術はホームベーカリーに生かされています。欧米でも人気を誇った日本製のホームベーカリーですが、その源流が、餅つき機の開発技術にあったとは、驚きですね。
東芝の初代機AFC150ではありませんが、同じ東芝のAFC159という製品でお餅ができる様子を撮影した動画がYouTubeにありました。皆さんもぜひ「見ていて飽きない」お米の変化をご覧ください。ちなみにこの動画も14万回以上も再生されて、なかなか人気があるようです。
写真の出典:東芝未来科学館、動画の出典:miurint – YouTube