今回は番外編としてイグノーベル賞について書いてみます。実は日本人は18年連続受賞という偉業?を達成しているのです
日本人が18年連続受賞しているイグノーベル賞
イグノーベル賞と聞いて、みなさんはどんな印象を持ちますか?
ノーベル賞の変わりだね、とか、おふざけの賞じゃないかとつい考えてしまうかもしれませんが、その本質は「一見何の役にも立たないようだけれど、実はすごく意味深い」研究に送られる賞なのです。
そしてこの栄えある?賞を日本人が18年連続受賞し続けています。
ことしのイグ・ノーベル賞生理学賞は、東京医科歯科大学・大阪大学の武部貴則教授、開業医・岡部亮医師ら11人のグループが行った「腸呼吸の研究」に贈られました。
受賞した武部貴則教授は 「日本には尻から酸素を吸い上げる能力を持つドジョウという面白い生き物がいる。なぜ私たちには同じことができないのか? それが最初の問いかけだった」と述べています。
腸で呼吸することができるドジョウに着目し、ほ乳類が直腸から酸素を取り入れることができる可能性について実験を行いブタやマウスなどで一定の効果が得られたとのこと。
武部教授は「呼吸に苦しむ患者さんやお子さんに役に立つ日をいち早く実現できるよう、チーム一同、心を新たに邁進していきたく思います」とコメントされています。
くだらないけどおもしろい?
以下に過去の日本人授賞者の一部をリストアップしてみました。
1992年(医学賞)
- 受賞者:神田不二宏、八木栄一郎、福田實、中嶋啓介、太田忠男、中田興亜(資生堂研究員)
- 業績:足の匂いの原因となる化学物質の特定。
1995年(心理学賞)
- 受賞者:渡辺茂(慶應義塾大学教授)、坂本淳子、脇田真清(慶應義塾大学)
- 業績:ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させることに成功。
1996年(生物多様性賞)
- 受賞者:岡村長之助(岡村化石研究所)
- 業績:岩手県の岩石からミニ恐竜、ミニ馬、ミニドラゴン、ミニ王女など1000種類以上の「ミニ種」の化石を発見。
1997年(生物学賞)
- 受賞者:柳生隆視(関西医科大学講師)ら
- 業績:人がガムを噛んでいるとき、ガムの味によって脳波がどう変わるのかを研究。
1997年(経済学賞)
- 受賞者:横井昭裕(ウィズ)、真板亜紀(バンダイ)
- 業績:たまごっちにより、数百万人分の労働時間を仮想ペットの飼育に費やさせたこと。
1999年(化学賞)
- 受賞者:牧野武(セーフティ探偵社)
- 業績:夫のパンツに吹きかけることで浮気を発見できるスプレー「Sチェック」を開発。
2002年(平和賞)
- 受賞者:佐藤慶太(タカラ)、鈴木松美(日本音響研究所)、小暮規夫(獣医師)
- 業績:犬語翻訳機「バウリンガル」の開発により、ヒトとイヌに平和と調和をもたらしたこと。
2003年(化学賞)
- 受賞者:廣瀬幸雄(金沢大学教授)
- 業績:ハトに嫌われた銅像の化学的考察。兼六園内の日本武尊の銅像にハトが寄り付かないことをヒントに、カラス除けの合金を開発。
2004年(平和賞)
- 受賞者:井上大佑(会社経営者、大阪府)
- 業績:カラオケを発明し、人々が互いに寛容になる新しい手段を提供したこと。
2005年(生物学賞)
- 受賞者:早坂洋司(オーストラリアワイン研究所)
- 業績:131種類のカエルがストレスを感じているときに出す特有のにおいを全部嗅ぎ分けてカタログ化した研究。
2005年(栄養学賞)
- 受賞者:中松義郎(ドクター中松)
- 業績:34年間自分の食事を写真に撮影し、食べた物が脳の働きや体調に与える影響を分析。
2007年(化学賞)
- 受賞者:山本麻由(国立国際医療センター研究所研究員)
- 業績:ウシの排泄物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出した研究。
2008年(認知科学賞)
- 受賞者:中垣俊之(北海道大学/理化学研究所)、小林亮(広島大学)、石黒章夫(東北大学)、手老篤史(北海道大学/Presto JST)、山田裕康(名古屋大学/理化学研究所)
- 業績:単細胞生物の真正粘菌にパズルを解く能力があることを発見。
2009年(生物学賞)
- 受賞者:田口文章(北里大学名誉教授)ら
- 業績:ジャイアントパンダの排泄物から採取したバクテリアを用いると、台所の生ゴミを質量で90%以上削減できることを示した研究。
など
渡航費は自己負担
イグノーベル賞の主催者は、アメリカのユーモア科学雑誌 『Annals of Improbable Research(風変わりな研究年報)』 です。授賞式は
資金が潤沢ではないため授賞者が授賞式に出るための渡航費は残念ながら自己負担なのだそうです。授賞式はアメリカのハーバード大学で開催されますが、諸般の事情で出席されない方もいらっしゃると思います。
しかしながら毎年日本人の授賞者がニュースで紹介される印象があるので、会社や所属団体から支援が得られない方でも、なんとか工面して出席している場合があるのかもしれませんね。
イグノーベル賞は、毎年おおむね10の部門で授賞が行われ、各部門ごとに1つの研究(または発明)が選ばれるため、通常は10組の受賞者が発表されます。ただし、1つの研究に複数人が関わっていることが多いため、受賞者の総数は10人を超えることが一般的です。
そこから世界を変えるような革新的な発明が出てきたら面白いですよね!
このシリーズの最後に、イグノーベル賞についてもちょっとだけ触れてみました。
(ミカドONLINE 編集部)
参考/引用: など