今回の雑草はツユクサです。編集会議で「次回はこれを取り上げたい」と画像を参加者に送ったら一部の男子から「あー、これねー!」という反応がありました。え?今まで名前を知らなかったの?という突っ込みはさておき、今回は(東北では)あまり知られていない意外な使い方もご紹介したいと思います。
弱くて強い夏の青い花
ツユクサは日本全国の低地に見られるツユクサ科の一年草です。
やや湿った道端や空き地、海岸などに自生し、夏の間じゅう咲いている小さな藍色の花が人目を惹きます。
花期が長いことや葉や茎に実用性があることで、万葉の古くから日本人に親しまれています。
ツユクサは早朝に咲き始め、強い日光に当たるとしおれてしまう短命な一日花です。
ただ、つぼみが苞葉に2~3個包まれており、それが次々に咲くため、2~3日咲いているように見えます。
また、一見ひ弱そうですが、引き抜いて放っておくと、いつの間にか根を出し、容易に生き返る繁殖力の強さがあります。
実は友禅染の下絵に使われています
先日、仙台二高の付近を歩いていたら敷地外周の のり面 にツユクサが咲いていたので写真に撮りました。
薬用としてのツユクサは生薬「鴨跖草(おうせきそう)」として知られ、日干しした全草を煎じて解熱や下痢止めに用いられます。
またツユクサは青色の染料としてもよく知られていますが、色素が水に溶けやすいため、水洗いするとすぐに色が抜けてしまいます。
ですが、この特徴を利用してよく活用されていたのが、友禅染の下絵描きです。
ツユクサの色素は水につけると消えてしまうので、下絵の上にいろいろな絵模様を染め上げて最後に友禅流しをすると、下絵が消えて華麗な友禅模様だけが布に残るというわけです。
現在の友禅染の下絵は化学的に調合された「化学青花」という染料を使うことが多いそうですが、今もツユクサの仲間の「オオボウシバナ」から抽出した「本青花」と呼ばれる染料は使われています。
職人さんの好みもありますが、「本青花」は「化学青花」と比べると放置していても描線が長く残るので、完成までに時間がかかる大作に向いているとのこと。
水に弱いということは大気中の水分にも弱いので、水に付けなくてもやがては消えゆく運命なんですね・・・
ツユクサは夏の花ですが、私の印象としては同じ夏でも虫が鳴き始める中盤以降のイメージが強いです。そしてこの花を見ると毎日学校のプールに通った小学生の夏休みを思い出します。
(ミカドONLINE編集部)
出典/参考記事:ツユクサ(露草) – 庭木図鑑 植木ペディア 別名が185もある「ツユクサ」|生薬ものしり事典|元気通信|養命酒製造株式会社 過去の質問と回答| 友禅工房 / 東京手描友禅工房 協美 青花・露草で友禅染めの下絵つけ! | 江戸手描き友禅「染工房 まいむらさき」のそめいろ日記 など