ルクスやルーメンやカンデラなど、光の単位ってなんとなくわかりづらいですよね。そこで今回から3回シリーズで光の単位を取り上げます。最初は聞き馴染みのあるルクスです。
ルクスは「場所の明るさ」を示す単位です
お部屋の明るさや作業をするときの手元の明るさを表すときにルクスという単位がつかわれます。ルクスは「1平方メートルの面が1ルーメンの光束で照らされる時の照度」と定義されていますが、簡単に言うと場所の明るさを示す単位です。
そのため同じ照明でも近づけると明るくなりますし、遠ざけると暗くなります。つまりルクスは光源ではなく、光源が照らしている照射先のほうの単位と言えます。
ルクスという単位は1889年に作られ、1948年の第9回国際度量衡総会 (CGPM) で国際単位系に採用されました。
語源はラテン語の光(lux)に由来し、派生語としてはlucent(ルーセント=輝く、光る、透明な)などがあります。年がバレますが往年のマツダの高級車「ルーチェ」もイタリア語で光を表すluceから命名されました。
ルクスが示す明るさの具体的なイメージとしては以下の通りです。
- テレビ放送のスタジオは約1000ルクス
- 明るいオフィスは約400ルクス
- 学校環境衛生基準によって日本の学校の教室は常に300ルクス以上
- 日本の住宅の茶の間の明るさも300ルクス
- 月の光は平均約0.2ルクス
- 星の光は0.00005ルクス
ラテン語のルクスは人名の語源にもなっています
単位のルクス(luxまたはlx)は人名から名付けられた単位ではないので大文字では書きませんが、光を表すこの言葉からはルーシー(Lucy 英)、ルチア(Lucia 伊)などの人名(女性)も生まれています。
ルチアと言えばナポリ民謡のサンタ・ルチアを思い出しますが、サンタ・ルチアというのはナポリの港の名前です。
その由来となっている聖ルチアは、クリスチャンとして異教徒から迫害を受け両目をえぐられてしまいます。けれど神の奇跡によりそれでも目が見えたという伝説に基づき、彼女が描かれている絵は両目を載せたお盆を手に持っているなど、どれも眼を暗示させる構図になっています。
またそういった背景から、聖ルチアは暗闇に明かりを灯す光の守護神とされています。
プロバスケットの試合は光り輝く2000ルクス
お部屋や手元の明るさを表す単位としてなじみ深いルクスですが、陸上競技場や室内競技場にでも大会や競技の種類などに応じて推奨される基準が決められています。
そのため身近なところではカメイアリーナ(仙台市体育館)でも、借入時に会場の明るさを選べるようになっています(参考:カメイアリーナ仙台使用料)。
同施設の最高照度は2000ルクスですが、アマチュアの大会ではお申し込みはほとんどないそうです。けれどプロバスケットボールの試合の時だけは必ず最高照度の2000ルクスになります。
アリーナで開催されるプロスポーツや国際大会などは1500ルクス以上の明るさが望ましいとされていますが、バスケットボールは国際レベル1の試合のときには2000ルクス以上の明るさが会場に求められるなど競技団体によってもそれぞれに規定があるようです。
ちなみに各競技の主な施設基準は以下のようになっています。
- 陸上競技
第 1 種陸上競技場公認基準 平均照度:1m22cmの⾼さで平均照度 1,000 ルクス程度
フィニッシュラインは 1,500 ルクス以上を確保 - サッカー
Jリーグスタジアム検査要項 平均照度:1,500 ルクス以上 - バレーボール
Vリーグ⼤会運営マニュアル 照度:1,500 ルクス以上 - バスケットボール
Bリーグホームアリーナ検査要項 平均照度:1,400 ルクス以上
(出典:各競技の施設基準)
高天井のランプは現在LEDが加速中!
それにしても大きな大会が催せるスポーツ施設の数字を見てみると、どの会場もテレビ局のスタジオを上回る明るさですね。これらの強力な照明には今まで水銀灯などが使用されていましたが、来年以降、水俣条約において一定の水銀量を含む製品は製造が禁止されるため、メーカーは次々と水銀ランプの製造中止を発表しています。
そのため現在は、LEDへの切替が加速しているようです。スポーツ施設や工場、倉庫など、高天井の水銀ランプのLED化をお考えの方は、こちらの記事をご覧くださいね
➡ 【What nowミカド!】LED化!工場体育館向けLED照明 切換えの検討はお早めに
・・・ということで、「オチはPR?」と笑われそうですが^^、次回はルーメンについてまじめに解説したいと思います。
(ミカドONLINE編集部)
参考/参照記事 ルクスの語源について アリーナ標準(PDF) JIS照度基準についての技術 など